築地と共に八十余年 津多屋商店 江戸暖簾(のれん)・江戸千社額(せんしゃがく)の専門店 築地 魚がし 小田原町

親父のひとりごと 【其の五】

親父のひとりごと 【其の五】

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籠字(かごじ)

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今やコンピューター時代。日常、文字を書く機会が年々、減ってきています。 かく言う小生も ワープロを打ちながらこの原稿を作っている次第です。年賀状以外でも 筆を持つ機会を増やせば日本語の魅力や先人のすばらしさが多少でも感じられることでしょう。

さて、“籠字”とは・・・俗に、江戸文字とも呼ばれ、半纏や提灯に書かれている“あの” 文字のことです。 本来、江戸文字とは、江戸期に生まれ、または発展、確立した文字で、“びら字”、“ひげ 文字“、”歌舞伎文字“、”相撲文字“、勿論、”籠字“ 等々、興行や商売を繁盛させる為 や、仲間の親睦を計るため、なるべく隙間をなくして書き、人々を大勢、呼び込もうとする蔭のプロデューサー達の苦心の賜物ともいうべき、世界にも誇れる文字たちなのです。

今回は“籠字”を取り上げますが、江戸文字の中でも、商売を感じさせない文字が“籠字”なのです。“籠字”は職人や火消したちの半纏の文字として好んで使われてまいりました。“籠”は、神仏の“加護”とも、または、籠目は“先が見通せる”等々、洒落ながらも本心は何事も無いよう、万事うまく行くようにと願って盛んに使われて来たのだと思います。やせ我慢の 江戸の人々にぴったりの文字だったのです。

ですから、“籠字”=“江戸文字”と言うのもうなずけるような気がします。 こんにち、祭には欠かすことの出来ない文字、それが“籠字”なのです。

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2000年12月

 

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